2020/06/18
逐語録を元にしたカテゴリー化の方法です。
深くご説明しますと話が入り組んで分かりづらくなりますので、端的にご案内します。
看護研究のインタビューを元に質的研究の素材を作るためには、大きく
↓
2,インタビューの実施
↓
3,逐語録の作成
↓
4,コード化
↓
5,カテゴリー化
の順番で作っていく必要があります。
今回取り上げるのは、5,カテゴリー化のところです。
カテゴリーというのは、日本で言えば、分類や領域、属性などで訳されますが、そのまま「カテゴリー」という言葉のニュアンスから受け取っていただくのが分かりやすいと思います。
カテゴリーは、「コードを抽象化した表現による分類」です。
逐語録を元に、はじめにコード化を行ったうえで、そこで付したコードをカテゴリー化する(カテゴライズする)という順番です。
たとえば、逐語録を元に以下のコードを付したとしましょう。
・患者と家族の意志はかならずしも同じではないことに若手は気づくべきだ
・意志の主体が患者であるのか医療者であるのか、冷静な判断が求められる
このコードを元にカテゴリー化すると、以下のようになります。
・患者の意志表示の確度
※例です。これが唯一正しいやり方という意味ではありません。
つまり、
具体的なコードの規則性を理解し、それを図書館の分類(社会科学、自然科学、技術、産業、言語など)のように、抽象化した表現を作る。これを「カテゴリー化する」と言います。
「コードの規則性の理解」と「抽象化した表現を作る」について、より分かりやすく説明します。
たとえば、以下の10個のコードを付したとしましょう。
(実際に、コードは単語だけを書くわけではありません。説明のために簡素化しています)
なんだか規則性が見えてきませんか?(ワン)
なんだか抽象化した表現を作れそうな気がしませんか?(ニャー)
これら10個のコードをカテゴリー化すると、
犬
コード:
シベリアン・ハスキー、ラブラドール・レトリーバー、ダックスフンド、シェットランド・シープドッグ、パグ
猫
コード:
アメリカンショートヘア、ブリティッシュショートヘア、ロシアンブルー、シャム猫、ペルシャ猫
このようにカテゴリー化できました。
この例では、カテゴリーを犬と猫にしましたが、もちろん、ほかの規則性に注目すれば、異なる抽象化した表現を作ることもできます。
たとえば、「患者のサポートができるかどうか」に規則性を求めた時は、「患者の外出の助けとなる動物」「アニマルセラピーにより有効な動物」となりますし、より簡単に「大きさ」に規則性を求めた時は、「体躯が大きな動物」「体躯が小さな動物」となります。
これが「具体的なコードの規則性を理解する」ことと、「抽象化した表現を作る」ことです。
規則性を見つけるためには、大本となるインタビューで「私はこのインタビューで何を明らかにしたいのか」を明確にしておく必要があります。
インタビューガイドの作り方にも関わってきますが、自分の中でインタビューの目的を明確にしておかないと、インタビュー自体が漠としたものになり、話があっち行きこっち行きして、「特にこれといったお話はいただけなかった」となってしまいますので、注意が必要です。
そして、さらに根っこの部分で言えば、「私はこのインタビューで何を明らかにしたいのか」を明確にしておくためには、「私は今回の論文やレポートで何を論じたいのか」を、頭の中で整理しておく必要があります。
規則性を見つけたあとに、抽象化した表現を作ることになりますが、これは、もちろん表現の思い付き・ひらめきなどの表現能力も必要ですが、やはり元になるのは「私はこのインタビューで何を明らかにしたいのか」です。
インタビュー 看護研究 逐語録の作成、コード化・カテゴリー化のサービスはこちら
https://www.osaka-p.com/tape/interview.html
帰納法とコード化・カテゴリ化との関係
https://www.osaka-p.com/blog/161/