2020/06/18
看護学の研究者としての役割は多岐にわたりますが、中でも現場の声、特に若手看護師の声を取り入れることは極めて重要です。
彼らは最新の教育を受けたばかりで、新しい視点や経験を持っており、その声は研究に新しい風を吹き込む可能性があります。
しかしながら、新人としての不安や環境への適応中であるため、インタビューの中で開かれた意見を共有するのは難しくなることも。
そこで、効果的なインタビューを行うためのアプローチのポイントをいくつかご紹介します。
1,オープンな姿勢を持つ
対話の場としてのインタビューでは、研究者の側が先入観や期待を持たずに、純粋にインタビュイーの声を聞くことが求められます。自らの研究テーマや既存の知識からの影響を受けず、フラットな気持ちで臨むことが必要です。
2,相手の立場を尊重する
看護師としての経験が浅いからと言って、その意見や感想を軽視してはいけません。彼らの日々の経験や直面する課題は、研究の質を高める貴重な情報源となるでしょう。
3,安全な環境を提供する
インタビューする場所の選定は、インタビュイーの安心感に直結します。静かで他者の視線や耳を気にせず話せる場所を選ぶことで、より深い内容の共有が期待できます。
4,クリアな説明を行う
研究の背景や目的、そしてどのようにインタビューの結果を活用するのかを明確に伝えることで、インタビュイーの不安を軽減できます。また、その情報がどのように匿名化されるのか、保護されるのかもしっかりと説明しましょう。
5,質問のオープンエンドを心がける
オープンエンドの質問は、答える方の視点や思考を広げる効果があります。特に看護師としての経験を中心に話を進める際、彼らの意見や感想を広く深く引き出すことができます。
6,感情の表現を尊重する
看護の現場は時に感情的になる場面が多いため、それに対して理解と共感をもって接することが大切です。感情的な反応や話が出た際は、それを冷静に受け止め、必要に応じてフォローを行うことが求められます。
7,事後のフォローアップ
インタビューが終わった後も、インタビュイーの気持ちのケアや疑問へのフォローが必要です。後日、感じたことや疑問点を共有するための連絡手段を提供し、必要に応じてサポートを続けることが大切です。
8,自己開示を恐れない
インタビュイーとの関係性を深めるために、適度に自分の経験や感情を共有することも有効です。それにより、インタビュイーも自分の体験や意見をオープンに共有しやすくなるでしょう。
看護研究のインタビューは、単に情報を収集する手段としてのみにとどまりません。それは実際の現場での声を正確に捉え、それを研究や実践にどのように生かすかというプロセスを含んでいます。
インタビュイーである若手看護師との信頼関係の構築、そして心からのコミュニケーションは、質の高いインタビューを実現するための鍵となります。