2020/06/18
質的研究 インタビュー コツ「座談会にしてはいけない」
質的研究のインタビューについて、インタビューを受ける人が複数人いる場合、重要なコツがあります。
それは、
座談会にしてはいけない。
インタビューにしなければならない。
です。
なぜなら、座談会形式では、インタビュイーの自由な対話が促されるため、個々の意見や体験が明確に表現されにくくなるからです。
より簡単に言うと、座談会の問題は、インタビュイーが雑多に好きなことを話してしまうため、多くを話しているようで、一人の話に合いの手を入れたり、他の例を用いて同じ話をしているだけになってしまい、言葉数ほど話の中身が濃くない、または、話の種類が多くなくなってしまいます。
これにより、質的研究で求められる深い理解や詳細な情報の収集が妨げられてしまいます。
インタビューのつもりが座談会になる原因
インタビューのつもりであるのに座談会のようになってしまうのは、聞き手(質的研究を行う人。つまり、あなた。)が、インタビューの開始と同時に、
「このことについて聞かせてください」
と言ったっきり、インタビュイーに好きに話をさせてしまうのが原因です。
つまり、先にお題だけを与えてあとは好きにお話をしてもらうことで、その瞬間、インタビューではなく座談会になり、話の行方は無軌道になってしまいます。
準備した質問に一つずつ答えてもらう
正しいインタビューの方法は、聞き手(質的研究を行う人。つまり、あなた。)が準備してきた質問を一つずつインタビュイーに答えてもらう方法です。
これにより、5人のインタビュイーがいれば、1つの質問に対して5人それぞれの回答を得ることができますし、質問が3つあれば、15通りの回答を得ることができます。
インタビューガイドの存在が大きい
各インタビュイーから個別の意見や経験を引き出すために、聞き手は適切な誘導と質問を行い、インタビューを構造化する必要があります。
こんなふうに言うと難しく聞こえますが、インタビューに臨む時点で、すでに構造化がなされています。それが他でもないインタビューガイドです。
事前にインタビューガイドを作り、インタビュイーに配っていますので、彼らもある程度、どのような質問が来るか、その質問に対してどのように応えるかを心の中である程度準備してきているはずです。
インタビューガイドに沿って、一つずつ、各インタビュイーに質問していく。そして、深堀をしたほうが良い回答を得たなら、その場で「このことについてより詳しく教えて欲しい」と聞けばよいのです。
その他、インタビューが座談会のようになることの問題点を以下に列挙しましたので、ご覧ください。
1. 話の焦点がぼやける:
座談会では、インタビュイーが雑談に近い形で会話が進むため、インタビューの主要なテーマや特定の質問に焦点を当てることが難しくなります。
2. 質的データの質の低下:
座談会では、インタビュイーが互いに影響を与え合い、本来の意見や経験を正確に表現しない可能性が考えられます。(顕著なのは、他の意見に同調すること)
これにより、質的研究のための信頼性の高いデータを収集することが困難になります。
3. インタビュイーの偏り:
座談会では、特定のインタビュイーが多くを話し、他のインタビュイーがあまり発言しないことがあります。これにより、全てのインタビュイーの視点を平等に収集することが難しくなります。
4. 無為な時間:
座談会では、本質から離れた話題に時間を費やすことがあり、インタビューの目的に直接貢献しない会話が増える可能性があります。
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